2014年6月24日火曜日

オープンゼミ ボローニャのサラボルサ図書館について

テーマ:ボローニャのサラボルサ図書館について

日時:2014年6月16日 18:30~
場所:名古屋大学 ES総合館 4階講評室

概要:
今回、これからの公共空間としての公共施設について皆で考えながら、
小松先生からイタリアのサラボルサ図書館ついて話を聞かせて頂きました。
ボノーニャ都心にあるサラボルサ図書館は同じく都心にあるマッジョーレ広場(屋根のない広場)とともに「広場(屋根のある広場)」として位置づけられ、美しい場所をつくることが市民の誇りとなることが強く意識されている。

セミナーでは、先生と学生、また行政やコンサルの方々と意見を交換しながら、
日本と海外の公共図書館の共通点、相違点、日本での展開方法について色々議論を行いました。
終了後も近くのイタリアンレストランで議論は続きました。
その内容を以下のようにまとめました。
サラボルサ図書館              photo by 小松先生

質疑内容:

・日本の公共施設再編は立地を再編する事例が多く、
 プログラムの再編まで至る事例は少ない。

・「イギリスはサッチャー時代に、かなりの公共施設が民のオペレーションになっている。
 だから、もっと自由な図書館運営ができたかもしれない。」という議論があった。
 確かに現在イギリスでは公共図書館の運営に民間事業者を取り組むPFI事業などを推奨しているが、まだ行政直営のものが多い。民間に運営を委託する場合でも一部業務だけを委託し、選書、整理、奉仕などの専門的業務を民間に委託する事例は見当たらない。

・日本では補助金制度を使って公共施設の再編を行う場合が多い。
 結局単機能の公共施設しか補助金が出ない。

・イギリスやイタリアでは社会問題がはっきりしており、
 それに応じて公共施設の再編ミッションもはっきり見えてくる。
 日本では社会問題が見えにくく、公共施設の再編におけるミッションがはっきりしない。
 その代わりに、各自治体でそれぞれの地域特性を合わせたテーマを作り、
 それを基にする取り組みは多く見える。
 例えば、情報と芸術をテーマにした山口市立図書館
 
 だが、今の日本も「図書館は本のための空間だけではない」と大きな声で言ってもいい時代になったかもしれない。例えば福祉的な機能を図書館に入れ込むなど。

・中小都市(ボローニャ)では皆がアクセスしやすいまちの中心部に一個の大きい公共施設を作り、多種な機能を入れ込むことができる。逆に、大都市(名古屋)の公共施設は各地でバラバラに立地することが多い。

・読書は一人でも自分の家でできることなのに、わざわざ公共の場所で読書を行うことは
「個」の空間を確保しながらも「公の場」にいることが人々が求めていることかもしれない。
 それが公共図書館という施設が成り立つ理由であるかもしれない。


文責:リエン